お返しのために

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お返しのために

 ふと目が覚め、毛布にくるまるようにして布団の中で横たわり、そのままぼうっとしていると、ゆっくりと流れていた血流が活性化し体中を巡っていく。  ようやく周囲を認識できるようになり、頭からかぶっていた布団から首を出すと、カーテンのかかった窓の隙間から朝の太陽の白い光が差し込んでくるのが見えた。  どうやら今日は天気も良いようだ。  この日はちょっと早いお出掛けをする予定である。  普段はもうちょっと遅い時間に起床するのだが、どうしても外せない予定が出来てしまったのだ。  どこの職場かはぼかさせてもらうが、一緒の会社で働く女性職員からバレンタインデーチョコをもらった事があった。  「日頃お世話になっているお礼」という社交儀礼としてのプレゼントであったが、可愛くラッピングされた市販のチョコを義理とは言え貰った以上、それ相応のお返しをしないと、今後の職場での扱いがちょっと困ったことになる。 いつもなら休日になると家でゴロゴロとしているが、空いた時間を纏めて取れる休みの日でないとプレゼントを選ぶことも出来そうにない。 この日だけはものぐさ精神をオフにして、ちょっとオシャレなお店にでも出かけてみますか。
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