一幕 成人の日

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 さて冬空の下、私はある珈琲店に向かっていた。常連客というわけではない、取り分け珈琲が衝撃的にうまかったわけでもない。  それでも煮え湯をそのまま飲まされたような、それこそ鮮烈なあの冬の日のことを、この十年間、一秒たりとも忘れたことはない。眠っている合間も無意識に二十四時間どころか三六00日欠かさず考えていたのだ。  私だけの答えを。
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