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一ヶ月ほど経って、また大学に通い始めた。
友達は変に気を遣ってきたりせず、今まで通りで
それに、すごく救われた。
学食のカレーを頬張っていると、そいつは急に真剣な顔で俺の目を見つめてきた。
「は?」
思わず聞き返すと、また同じ事を繰り返される。
「だから、俺と一緒に、会社やろう」
「いや、会社ってなんの? 金は? え、てか、なんで俺?」
慌ててカレーを飲み込んで質問攻め。
そいつは言いづらそうに、でもしっかりと俺の目を見ながら話し始めた。
「正直に言うと、翠漣の両親が亡くなったって聞いてさ、俺、自分の親になんかしてあげられたかなって考えて。ああ、何もしてないなって思ったんだよ。それで、」
こいつ、田淵 領は、見た目も派手で女好きで最初から目立ちまくってて、正直関わることもないと思っていた。
けど、講義の時ペンケースを忘れて困っていた俺に、
ペンないの?貸したげる、はい。って人懐っこそうな笑顔で話しかけてきたのがきっかけ。
講義が終わり講堂を出て行こうとするそいつを呼び止めて、ペンありがとう、って返すと、
名前なんて言うの? 昼飯行かね?って一回目よりもくしゃって笑いながら言われて
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