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ああ、悪いやつじゃないんだ、と思うのと同時に人を見た目で判断してた自分に気づいてなんか情けなくなったのを覚えてる。
今までの学校生活のこととか、あの学部のあの子が可愛いとか、どうでもいいことばっかり話したな。
まあ、何人も女の子を紹介してくるこいつのせいで、俺は女好きになっちゃって遊び人のレッテルを貼られた訳だけど。
そんなのどうでもいいって思うくらい、一緒に居るのが楽しい奴だ。
聞いてる?って顔を覗き込まれて、聞いてるよ、と頷く。
「俺の親父ね、テーラー、あの、スーツ作る仕事してて。個人の顧客からオーダースーツの注文受けて、一から作って、ってしてたんだけど、だんだんツテもなくなってきて、注文が入ってこなくなっちゃって。だから値段を更に引き上げて、もっと注文が減って、っていう悪循環。」
眉下げて喋ってる顔は、本当に心配してる、って感じ。
「それでね、俺思ったの。そうやって手作業でいいもの作ってる職人と、それを認知してない人たちを結びつけられたらな、って。だって本当に丁寧に、なのに速く、最高のもの作り上げてる人たちがいるんだよ。それをさ、もっと広めたいんだ」
びっくりした。
こんなに真面目に考えてるなんて思ってもなかった。
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