第二章 発覚

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 一番驚いたのは姉貴だろう。俺も驚いた。鳳大学はそんなレベルの低いところではないが、そんな輩もいるもんなのかと思った。それから矢沢が、 「そんな奴、彼氏でもなんでもねぇんじゃない? なあ、金森」 「あ、ああ。まあな。でも、どうするんだ? 実家には帰りたくないんだよな?」  言うと、こくんと頷く。しばらく考えていたが、俺は、 「でも、このまま、うちに居続けるのも違うと思う。だから、今度、眠兎の実家に俺たちも行くよ。それで、一度話し合ったらどうだ?」  言うと、眠兎は、口を一文字に結んだまま、こくんと頷いた。 「……はい。ちゃんとしようと思います。だから、助けて下さい」  言って、眠兎は今にも泣き出しそうになった。するとまた矢沢が、 「金森、可愛い子と同居とか羨ましいぜ。俺にもなんか出来ることあったら言ってくれよ。あれくらいのヤンキーは俺ならなんとかできる!」  ふはは、と大きく笑う矢沢に、俺は、 「……お前なんか護身術でもやってんのかよ」  言うと、矢沢はにやりと笑って、 「俺、中学空手全国一位。高校になってから辞めたけどな」 「なんで。学校、空手部あるだろ」 「んー? なんつーか、プレッシャーが重くなった。今は合コンとかに忙しいから」 「あ、そう」  俺は、苦笑しながら晩飯の麻婆豆腐を口に運ぶと、姉貴がどこか慈愛に満ちた表情で、 「少年にも友達がいたのか……我は感動しているぞ……」 「うるさい! 矢沢が勝手に絡んでくるだけだ!」 「矢沢氏……いつでも、我らの城に遊びにきてくれ……」 「うっす! また飯食いにきまっす」  言って、みんな笑いながらその日の夕飯は終わった。
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