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カッコ悪さに口をつぐんでいると、彼は真顔で言った。
「でも、お似合いでしたよ。春らしくて素敵だなあって」
「え……」
「あ。あれじゃないですか」
年甲斐もなくピンクの、桜の花弁を模したクリップ式のイヤリングは、椅子から少し離れたところに落ちていた。
帰りにストールをかけた時に、引っ掛かったのかもしれない。
わざわざしゃがんでそれを取り上げてくれる後ろ姿を見ながら 多分、わたしの顔は今盛りの桜の色に染まっていたと思う。
「良かったですね。他のお客さんに踏まれたりしてなくて」
男の人らしい大きな手のひらに乗せて差し出してくれたのを受け取って、わたしは顔を隠すように頭を下げた。
「すみませんでした」
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