選ばないでください、王子様

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  「じゃあ、彼女にします」  会長に、この中から誰か選んで結婚しろと言われた悪王子、(じゅん)はテーブルの上に広げられた見合い写真からではなく、そこに居た葉名を選び、言ってきた。  会長が、は? という顔をしたあとで、葉名を見る。  准は葉名の腕をつかんだまま、 「彼女と結婚することにします」 と宣言した。  いや、することにしますって……。  あのー、すみません、社長、私の意志は? と葉名が固まっていると、会長は胡散臭げに葉名を上から下まで見ながら、 「……誰だね、彼女は」 と言ってくる。  准は一瞬、考えたあとで、 「……誰なんでしょうね」 と言った。  おい、悪王子、と思う葉名を振り向き、准が問う。 「おい、お前。  名前はなんだ?」 「き、桐島葉名(きりしま はな)です」
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