4034人が本棚に入れています
本棚に追加
/340ページ
「じゃあ、彼女にします」
会長に、この中から誰か選んで結婚しろと言われた悪王子、准はテーブルの上に広げられた見合い写真からではなく、そこに居た葉名を選び、言ってきた。
会長が、は? という顔をしたあとで、葉名を見る。
准は葉名の腕をつかんだまま、
「彼女と結婚することにします」
と宣言した。
いや、することにしますって……。
あのー、すみません、社長、私の意志は? と葉名が固まっていると、会長は胡散臭げに葉名を上から下まで見ながら、
「……誰だね、彼女は」
と言ってくる。
准は一瞬、考えたあとで、
「……誰なんでしょうね」
と言った。
おい、悪王子、と思う葉名を振り向き、准が問う。
「おい、お前。
名前はなんだ?」
「き、桐島葉名です」
最初のコメントを投稿しよう!