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すると、准は葉名の腕をつかんだまま、会長を振り向き、
「桐島葉名です」
と復唱する。
「歳は幾つだ」
と会長に訊かれた准は、またも、こちらを振り向き、
「歳は幾つだ」
と訊いてきた。
「に、二十二です」
「二十二です」
……貴方、私と会長の言葉を繰り返してるだけじゃないですか、と思ったとき、会長が、
「それで、どちらのお嬢さんなんだね」
と訊いてきたので、葉名は准が口を開く前に、直接、会長に向かい、答えた。
「そっ、そこらの一般庶民ですっ」
そういえば、この話はすぐに終わると思ったのだ。
だが、会長は、そうかね、と言うと、腕を組み、目を閉じる。
そして、思慮深げな顔で言ってきた。
「そこらの普通のおうちのお嬢さんだと言うのに、野心家の准が結婚したいと言うからには、君には、人とは違う、なにかキラリと光るものがあるに違いない」
なんですか、そのなにかの選考結果みたいなの。
っていうか、なにもありませんよ!? と思う葉名を見て、会長は矢継ぎ早に質問してきた。
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