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「社長っ」
と言うと、
「准だ。
俺が葉名って呼べなくなるだろ」
と葉名の髪を後ろで一本に編み上げたあとで、
「お前の長い髪は魅力的だが、こういうときは邪魔だろ、結べ」
と言ってくる。
いや、結べはいいんですが、何故、三つ編みっ?
そして、三つ編みできるのは何故っ?
と思っていると、准は、ああ、という顔をし、
「昔、ばあさんの髪をよく編んでやってたんだ」
と言う微笑ましいエピソードを披露し始めた。
「そして、ばあさんもよく俺の髪を編んでくれていた」
「……俺の髪?」
頭の中で、准の黒髪が伸び、三つ編みになった……。
「昔は色も白かったし、髪も栗色だったんだ。
ボブカットにしてた。
母親がその方が似合うと言ってな」
頭の中で、今の准の顔が白くなり、髪が栗色になって、三つ編みになった。
うーむ……、と思っていると、准は、
「ま、男は自分の髪型になんか興味ないからな。
母親やばあさんたちのおもちゃだよな」
されるがままだった、と言いながら、ほら、とスマホに入っている家族写真を見せてくる。
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