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写真を写したもののようだ。
大人たちの間に埋もれるようにして立つ、おしゃまな格好をした小さな子どもを拡大する。
なるほど、ボブカットで栗色の髪。
くりくりとした瞳のかわいらしい男の子がおばあちゃんらしき人に手を握られ、ちょこんと立っていた。
「これは母方のばあさんだ」
と准が言ったとき、葉名は、
「……私、この人、知ってます」
とその栗色の髪の少年を見ながら言った。
「一緒に遊んだことあります、龍王山公園で」
その言葉に、おお、と准は手を打つ。
「懐かしいな、龍王山公園。
父親のところに住んでたとき、近所だったからな」
ん? 父親のところ?
と思う葉名をマジマジと見たあとで、准は、
「……モンキー?
モンキーじゃないか!」
と懐かしそうに肩を叩いてくる。
「モンキー、どうした、綺麗になって!
……待てよ」
キ、リ、シ、マ ハ、ナ、と確認するように口の中で呟いたあとで、
「何処にも猿がないぞっ」
と叫び出した。
いや……、普通、なかなか名前に、猿、入ってないと思うんですが。
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