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「そういえば、貴方のあだ名は『社長』でしたよね」
可愛い顔なのに、偉そうだったので。
「まさか、今もただのあだ名ってことはないですよね」
とつい言って、
「……おい」
と言われた。
「でも、そういえば、社長のおうちは、お父さんが地方回りの役者さんだから、長く此処には居ないんだと聞いた気がするんですが」
父親が地方の劇場を回る大衆演劇の劇団の人なので、『社長』はひとところに長くは居ないんだと聞いた気がする。
だから、そんなに長く遊んでいたわけではなかったのだが、年上とは思えないほど可愛らしい顔をしていたので、覚えていた。
……それが、まさか、こんな悪王子になっているとは思わないしな。
そういえば、顔立ちはそう変わっていないのだが、常になにか一含みありそうな顔をしているので、印象が全然違っていて、気づかなかったのだ。
「そうだ。
俺の父親は、今も地方を回っているぞ」
「……お父さん、何処かの社長とかじゃないんですか?」
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