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     玄関から白いビニール袋を持ってきた葉名(はな)は、小ぶりなガジュマルをガサゴソと出すと、片付いたガラスのローテーブルの上に置いた。 「なにか木のおうちっぽいですよね~」 とニンジンのような太い根が絡み合ったガジュマルを見つめる。  ガジュマルには幸せを呼ぶ精霊が住んでいると誠二(せいじ)が言っていた。  木のおうちのような、ころんとした形のガジュマルの陰から、ひょっこり顔をだす精霊を想像してみたが、その姿は何故か幼い頃の(じゅん)になっていた。  あの頃は外見だけは清らかな王子様みたいだったのに、今では、すっかり悪王子に……。  一体、なにがあって、こうなったのか。  いや、単に歳とともに、もともとの性根が顔に出てきただけなのか? と思いながら、葉名が、 「ガジュマルは、とても生命力の強い木で、健康運や金運が上がるそうですよ」 と言うと、腕組みして、ガジュマルを見ていた准が、 「勝利のエネルギーをくれる木とも言われているな」 と言ってくる。 「社長、お詳しいんですね」
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