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「おはようございます。
あれっ? 室長は?」
翌朝、葉名は室長に用事があって、秘書室に訪ねていったのだが、居たのは、涼子だけだった。
「桐島っ、桐島っ」
とノートパソコンを打ちながら、涼子が手招きしてくる。
「昨日のイケメンッ、誰っ?」
えっ?
社長のことかっ? と一瞬思ってしまったのだが、それなら、誰とは訊かないはずだと気がついた。
「ほらっ、夕べ、あんたが一緒にご飯食べに行ってたっ」
誰かと一緒に食べに行ったっけ? と思ったあとで、ああ、と気づく。
「あれ、たまたまお店に一緒に入っただけのお花屋さんのおにいさんです」
と答えた。
いや、一緒に食べたのは事実なのだが、それはただ単に、店に入った誠二が、
「僕、やっぱり食べて帰ろう。
その方が片付けるのにも手間いらずだしね」
と言い出したからだ。
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