今のところ、お前が一番気に入っている

16/19
4037人が本棚に入れています
本棚に追加
/340ページ
「ファストフードなら、軽く誘えるし、警戒もされないもんな。  話の流れで一緒に食べることも可能だし。  上手くいかなかったら、じゃあ、自分も持ち帰りで、とか、さらっと言って、相手に警戒心を抱かせることなく、話を終わらすこともできる」  ま、確かに流れで、スルッと一緒に食べてしまったな……と思った葉名ではあったが。  そんなことより、 「まあ、俺でもそうするからな」 と言う准の一言の方が気になった。  何処の女にそんなことしてやがるんですか、と思ったからだ。  その気配を感じた准は、 「いや、お前とたまたま知り合ったら、俺ならどうするか想定してみただけだ」 と言ってくる。 「俺の好みではないが、お前は美人だからな。  知り合ったら、ちょっとラッキー、くらいの」 「あの……その程度の好意しか抱いてないのなら、もう言い寄らないでもらえますか?  っていうか、その程度なのに、キスとかしないでください。  私、初めてだったのにっ」 と思わず、昨日からの不満をぶちまけると、 「初めてだったのか」 と真顔で驚かれた。
/340ページ

最初のコメントを投稿しよう!