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夜
夕方、家に到着しました。
「ただいま、お祖母ちゃん」
「おかえり。学校はどうだった?」
「うん…。いつも通り、かな?」
一部の人を残して無視される日々。
今ではすっかり慣れてしまったけれど、諦めることだけはしたくないです。
「みんな、ご飯できたわよ」
ちょうどわたしが帰ってきたところで、夕ご飯ができたようです。
「今日はハンバーグなんだね。運ぶの手伝おうか?」
わたしは笑顔でお母さんに声をかけます。
けれどお母さんの眼は、わたしに向きます。
「お母さん…」
ふと、お母さんの動きが止まりました。
まるでわたしの声が届いたように。
「あっ…」
「母さん、運ぶの手伝うわ」
しかし横から妹が声をかけ、お母さんは妹の方を向いてしまいました。
「えっええ、お願いね」
ぎゅっと胸が締め付けられました。
声が届いたと思ったのに…。
わたしが立ち尽くしている間に、夕ご飯はテーブルに並べられました。
そして家族五人そろっての食事です。
けれどそこに声はなく、誰もが無言です。
その様子を、離れた所でソファーに座っているお祖母ちゃんが心配そうに見ています。
やがて食事が終わると、各々勝手に動き出します。
「はあ…」
「美羽ちゃん、もう休んだらどうだい?」
「…うん、そうしよっかな。じゃあおやすみ、お祖母ちゃん」
「うん、おやすみ」
わたしはお祖母ちゃんに笑顔を見せ、自分の部屋に戻りました。
制服からパジャマに着替え、ベッドに入ります。
「今日はダメだったけど、明日こそきっと…!」
そう決意し、眼を閉じました。
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