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深夜
美羽の母親は、仏壇の前で項垂れていた。
「さっき…美羽の声が聞こえた気がしたの」
ぼんやりとした声に、美羽の父親は沈痛な面持ちを浮かべる。
「そうか。まだ旅立っていないのかもな」
「お兄ちゃんにはもう美羽の食事を作らない方が良いって言われたけれどっ…でも!」
母親は涙を浮かべながら、仏壇を見上げた。
そこには笑顔の美羽と、祖母の写真が飾られていた。
「まだあのコが亡くなったなんて、信じられない! 三週間前までは生きていたのに…!」
「交通事故だったんだから、仕方なかったんだ。それだけは認めよう」
「ううっ…」
泣き崩れる母親の体を、父親は優しく抱きしめた。
「大丈夫、一年前に亡くなったお祖母ちゃんと一緒にいるさ」
「お義母さんと…。そうね、美羽はお祖母ちゃんコだったものね」
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