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「えへへ…」 わたしは泣きそうになるのをこらえながら、朝食を食べ始めます。 朝から暗い顔をしてはダメです! そして重い空気の中、朝食の時間は過ぎていきました。 カバンを持って、わたしは家族に「行ってきます」を言おうとしました。 けれど兄さんが、真剣な表情でお母さんに向き合っていました。 「母さん、こう言うのもなんだけど…もう美羽の食事、用意するの止めたら?」 「えっ…?」 兄さんの言葉を理解するのに、時間がかかりました。 その言葉の意味は、ジワジワと心に冷たく沁み渡ります。 「…っ! 何でそんなことを言うの?」 洗っていたお皿をぎゅっと握りしめ、お母さんは辛そうに俯きました。 「理由は分かっているはずだ。もういい加減にした方がいい」 「やめてっ!」 お母さんはお皿を手放し、両耳を塞いでしまいます。 「言わないで! どうしてもっ…作ってしまうんだから、しょうがないでしょう!」 「母さん…」 その場で蹲ってしまうお母さんと、立ち尽くす兄さん。 騒ぎを聞きつけ、お父さんと妹がリビングに駆けつけてきました。 わたしは居た堪れなくなって、家を飛び出してしまいました。 兄さんがあんなことを言い出すなんて…わたし、何かしたんでしょうか?
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