家政婦は見た

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 私がこの家に雇われたのは、三ヶ月前。古い友人に、お世話になってる人が週二回ほど家事の手伝いをしてくれる人を探しているのだけど、やってもらえないかと言われたのが切っ掛けです。掃除と料理が普通に出来きて口が固くて信頼出来る人、との条件でした。 「その家の旦那さん、事故の後遺症でちょっと障害があるんだけどさ、その障害についての対応は、奥様の希望通りにしておくれよ。それと、このことは絶対口外しちゃダメだからね!頼んだよ!」  何やら複雑な事情がありそうでしたが、ちょうど仕事を探していましたし予想外にお給金が高かったので、私は引き受けることに致しました。  最初、旦那様の障害は足のことだと思っておりました。杖を突き、左足を引きずるように歩かれるからです。ですが、問題はそんな簡単なことではありませんでした。  勤務地であるお宅に向かう前、近くの喫茶店で奥様とお会いして、お話しをお伺いました。 「主人の前では、決して私を見ない話しかけないようにしてください」  奥様のお話を伺っても、とても信じられるものではありませんでした。 「百聞は一見にしかず。見れば分かるわ」  そして、私は奥様とご一緒に、お宅へ伺いました。
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