左隣

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左隣

 私に、事故の時の記憶はない。  どんな運転ミスをして、何故電信柱に突っ込んでしまったのか、全く覚えていない。ただその事故で、私は足に障害が残るほどの傷を負い、妻を失った。  子供のいない私達夫婦にとって、お互いがかけがえのない存在だった。入院していたこともあって、未だ妻を失った実感がない。ただ、いつもいるはずの私の左側に、妻のいない涼しさと、寂しさを感じるだけだった。
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