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ルアンは、背が高く、金髪で、肌の色が白く、その辺の下手なモデルよりも美しかった。
ルアンはそのどこにいても目立つ容姿ゆえに、人混みが得意ではなかったが、そのときは珍しく、下校する学生の溢れる夕方の駅に、一人でいた。
そこで人を待っていた。
すると向こうの方で、他の学校の制服を着た女子たちが、明らかにこちらの方を見て騒いでいるのが視界に入ってきた。
ルアンにとってそれは快いものではなかったが、同時にいつもの光景でもあった。
そうこうしていると、その集団のうちの二人が、こちらに近付いてきているのが見えた。
ルアンがそちらに目を向けると、女の子たちははしゃぎながら近付いてきて、
「あっあの、斎藤ルアンさんですよね?」
と目を輝かせながら、そう声をかけてきた。
「そうだけど」
ルアンが一言返すと、彼女たちはキャーと言いながら、
「あっあの、握手してもらってもいいいですか?」
「握手?」
ルアンは今まで、手紙や物を渡されたり、連絡先を聞かれたりしたことはあったが、握手を求められたのは初めてだったので、一瞬たじろいでしまった。
それでもルアンが手を差し出すと、彼女たちはルアンの手を握ってキャーと言い、そしてそれで満足したのか、そのまま礼だけを告げ、仲間の元に早足に帰って行った。
ルアンには握手の何がそんなに嬉しいのか分からなかったが、彼女たちは興奮していて、その集団はまだそこで盛り上がっていた。
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