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ルアンがなんとなくその様子を尻目に見ていると、
「おう、ごめんごめん、遅くなって」
と、別の方向から声がして、ようやく待ち人が姿を現した。
ルアンが待っていたのは、中学の時の同級生の、岩田だった。
岩田は背が伸びて、中学のときよりも凛々しくなっていた。
二人が会うのは、中学を卒業して以来だった。
「良かった、元気そうじゃん」
「あ?まぁな……」
「ってか腹減ったわ。なんか食いに行こうぜ~」
岩田は、誰に対しても馴れ馴れしく、中学校で浮いていたルアンにも、遠慮なく話しかけてくるようなタイプだった。
ルアンと岩田は特別に親しいわけでもなかったが、SNSを通じて岩田からルアンに連絡があり、久しぶりに会うことになったのだった。
「相変わらずだなオマエ。女子からスゲェ見られてんじゃん。金髪にしてるから余計目立つんじゃねぇの?」
岩田は周囲の女子からの視線を感じながら、ルアンが金髪になっていることにここでようやく触れた。
岩田がルアンの金髪姿を見るのは、これが初めてだった。
「地毛だと色々めんどくせぇから……こうした」
ルアンの地毛は淡い栗色に近いものだったが、そのことであまりにも理不尽な目に遭ってきたので、高校からは開き直って逆に金髪にしたのだった。
「いやいや、そっちのがめんどくさくね?まあ確かに違和感はねぇけどさ。で、何食いたい?」
岩田はこういう、あまり他人に興味のないやつだった。
何が食べたいかとの問いに、ルアンが、
「別に何でも」
と返すと、じゃあ、と、二人は駅の近くにあるラーメン屋へ向かうことになった。
「でもまさか、ルアンがあんな高校行くとは思ってなかったな。どうなの実際。やっぱヤンキー多い?」
「別に……」
「ホント相変わらずだなオマエ。そんなんじゃ友達できねーぞー」
冗談めかして笑う岩田は、本当に中学のときと何ら変わってはいなかった。
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