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ルアンは揺らいでいた。
岩田の言うように、こんな頭にしているから、不快なことに巻き込まれるのだと。
「先輩らしいです」
しかし、有川は、純粋にそう言って笑った。
その顔は、可愛らしかった。
「あぁ、まぁな……」
そして、ルアンは、いよいよ本題に切り込んだ。
「……お前のそれは、検査でやられたのか」
「そーなんですよ、先輩いなくなったら一人になっちゃって~。マジ最悪です」
しかし有川の口ぶりは、意外にも、深刻そうではなかった。
「絶対訴えたら勝てますよね~。人権侵害ですもん。っていうか、さっき一緒にいた人とはもう別れたんですか?」
「あぁ」
「じゃあ、ちょっと付き合ってくださいよ」
と有川と話している間にも、二人に視線が集まるのを、ルアンは感じていた。
自分の容姿と、有川の見た目と喋り方のギャップが人目についていることには、気が付いていた。
「これから雑貨屋さんに行こうと思ってたんですけど、こんな格好じゃ一人で入りづらくてぇ~」
「俺とでも大差ねぇだろーが」
「先輩がいると、誰かのプレゼント選んでるのかなって思われるから大丈夫です」
「あっ、そ……」
と言いながら、ルアンは周囲からの視線を避けるように、有川を雑貨屋へと促すようにさりげなく歩き始めた。
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