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青年は新しい生活に胸を躍らせてた。幸運にも見つけることができた新築のアパート。これから、自分の新しい生活が始まるのだ。
一日かけて、実家から荷物を運び入れ引っ越しを済ませる。引っ越しを手伝ってくれた友達に引っ越し祝いをしてもらい、青年が帰るのがすっかり、遅くなってしまった。
良い気分だった。部屋に戻って、軽くシャワーを浴びた青年。このまま、眠ってしまっても良かった。買ったばかりのテレビでも見ようか、それとも―――。
「あれ?」
あれやこれや考えていた青年は部屋の明かりが消えたのに気付いた。電球は新しいのを買ったばかりで、ついさっきまで明かりも点いていた。
それが、どうして急に消えたり―――。
青年はブレーカーを何度か上げ下げしてみるも効果がない。空しくカチカチと音がするだけだった。
「なんてことだ」
青年は溜め息をつく。せっかく、引っ越したばかりだというのに停電とはついていない。さっきまでの良い気分はすっかり、消え去ってしまった。
朝一にでも大家の部屋に行き、電気を直してもらわなくては。
そんなことを考えていた中、表の方から耳を突くようなサイレンの音がした。
夕方でもないのに夜にサイレンがなるなんて。青年は窓から外を見る。
そこでやっと、青年は異変に気づけた。
周りに建物はなく荒野が広がっていた。
何が起こったのかさっぱり、分からなかった。
もっとも、青年が周りで何が起きたのか。それを理解するよりも早く、不幸を告げる無情の声が聞こえる。
「これより不発弾の処理を行います」
次の瞬間、明るい未来に期待を膨らませていた青年は部屋ごと、四散したのであった。
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