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彼は頭痛がしてきた。自分の身の周りで起きたことに信じられず、よろよろとアパートの壁に背中を預けた。そのアパートもまるで、新築であるかのようについさっきまでとは違い、真新しかった。
一秒としていたくない。この異様な光景の世界には。彼は逃げるように部屋に逃げ帰った。
その直後だ。部屋のテレビは元のように電波を受信して映るようになったのは。それに、外からはやかましいほどに工事の音が聞こえてきた。
彼は恐る恐る、窓から外を見る。元の街並みだ。寸分違わない再開発中の街並みが広がっていた。
いったい、あれは何だったのか。夜ではあったが、白昼夢でも見ていたのか。それとも、この部屋で死んだとされる青年の呪いだというのか。
彼はこの悪夢を一刻も早く忘れたく思い、飲みかけだった酒を一気に煽ると眠りにつくのであった。
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