インコ失格

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瑞樹ちゃんはそう言うと私の大好きな大根の葉っぱを籠にいれて 「ピティちゃん、おはよう。おはよう」と何度も言いました。私は瑞樹ちゃんが強がって嬉しそうに言っている様に聞こえ悲しくなり 「おはよう。おはよう」と何度も答えました。 別れる前に、沢山瑞樹ちゃんを喜ばせてあげるんだ。最後にいい思い出を残して旅立とう。そう、これが私の持って生まれた気質なのです。 不思議な物でおはようが言えると、他の言葉も簡単に喋れるようになりました。 「こんばんは。こんばんは」 「葉っぱ。葉っぱ」 瑞樹ちゃんは喜んでいます。インコでも瑞樹ちゃんを喜ばす事が出来るなら、自殺なんてやめようかな。そんな気持ちになりました。 ですが、もう決めてしまった事です。 その時はある晴れた日の朝、突然やってきました。 「ピティちゃん、籠から出る?運動したいでしょ」 「ピー。ピー。ピー。ピー」 さようなら。瑞樹ちゃん、次は人間に生まれ変わるからね。 「洗濯物を干すから、こっちに来ちゃダメだよ」 さようなら瑞樹ちゃん、そして有難う。 私は窓の外に向かって精一杯羽ばたきました。 外には青い空が広がっていて、太陽が眩しく、今迄そんなに飛んだ事がない私は直ぐに地面に足をついてしまいました。 その時です。 知らない動物が私に襲い掛かってきました。 バイバイ、瑞樹ちゃん 「瑞樹ちゃん、瑞樹ちゃん」 知らない動物に向かってですが、最初で最後産まれて初めて瑞樹ちゃんの名前が喋れるようになりました。 「瑞樹ちゃん、瑞樹ちゃん」 終わり。
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