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そんな私の心配をよそに、その話はとんとん拍子に進み、春のある晴れた日にお父さんの車に乗せられ私は女の子のもとで飼われる事になりました。その時はお兄さんやお姉さんと私を間違えてくれればいいのにと切望しましたが、何故かお父さんは私の事がすぐに解ったようです。私は迷う事無くお父さんに捕まれ、女の子のもとに行く事になりました。
「可愛いインコね。男の子かな?女の子かな?名前は何にしようかな」
狭い箱に入れられ、私は女の子の手に渡りました。箱を開けると女の子はとても喜んで。私を掌に乗せました。私はまだ飛ぶことができなかったし、怖いやら恥ずかしいやらで一生懸命鳴きました。
「ピー。ピー。ピー。ピー」
「どうしたの?怖いの?」
「ピー。ピー。ピー。ピー」
そうだよ。その通り
私の思いは上手く伝わらずに、女の子は
「お腹が空いたのかな?」といってインコの雛用の餌を作り、私にスプーンでくれました。私はあまりお腹が空いていませんでしたが、ここで嫌われては大変だと、一生懸命食べた覚えがあります。そうなのです。私は生まれた頃から人間から好かれようと頑張る癖がありました。それが持って生まれた性格なのかもしれません。兎に角私は新しい飼い主に好かれようと必死でした。そのうち女の子は私を『手のりインコ』と言うインコに育てようとしました。
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