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私は女の子の指を止まり木に見立てて上手く乗る事ができたので飼い主の女の子はとても喜びました。(のちにその子の名前は瑞樹ちゃんだと言う事が解りました)瑞樹ちゃんの指に乗ると瑞樹ちゃんの身体から優しい石鹸の香りがして、心地良かったのを覚えています。そうして瑞樹ちゃんと私はとても仲良くなりました。
「名前はピティちゃんにしよう」
瑞樹ちゃんは私の名前を決めました。ですが私は男です。もっと男の子らしい名前をつけて貰おうと、首を傾げました。
「ピティちゃん。宜しくね」
私の思いは伝わらずにピティちゃんと言う名前がつきました。
「ピティちゃん、おはよう」
「ピティちゃん、こんにちは」
「ピティちゃん、こんばんは」
瑞樹ちゃんは事あるごといつも私に挨拶をしてくれました。私は嬉しくて瑞樹ちゃんの声真似をしようと頑張りました。そのうち自分の名前を喋れるようになりました。とても嬉しく、瑞樹ちゃんに向かって私の名前を喋りました。
「ピティちゃん。ピティちゃん」
最初喋った時は低いガラガラ声ですが、最初は仕方がなかったのかもしれないです。
「ピティちゃん、喋れるようになったの?頭の良い子ね」
私は『おはよう』も『こんにちは』も『こんばんは』も早く喋れるようになるように頑張りました。私のサービス精神がむくむくと芽を伸ばし、これが産まれついての性なのだと思うと悲しくなりました。
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