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「それでね、公園のベンチから落ちて、それなのに先輩ったら、私の上に乗ってきて」
ああ。やめて。それ以上聞きたくない。
「私は泣いたの。そうしたら、つまらない女だって。そう言い残して帰ってしまったの」
そう言うと瑞樹ちゃんは膝をついて泣き崩れました。
良かった。瑞樹ちゃんのバージンは守られたようです。ですが先輩は何て酷い男なのでしょう。私が心配した通りです。
それを聞いた時何故か私は死のうと決めました。
死んで人間に産まれ変わって、瑞樹ちゃんを守るんだ。そう心に決めると次に死ぬ手段を考えました。この狭い籠の中には自殺できるような物は何もありません。
どうにか、籠を出て、部屋の外にでよう。
外の世界への憧れ。
そんな気持ちも幾分かあったに違いありません。部屋の外から聞こえてくる、名前も知らない鳥達の鳴き声、いつもとても楽しそうに聞こえたのです。
「チュン、チュン、チュン、チュン」
最後にあの鳥達と仲良くなりたい。どんな色をしているのだろう。お父さんや兄弟皆と同じ綺麗なブルーの色をしているのだろうか。
私は瑞樹ちゃんが洗濯をしている時、籠の中から出して貰える事があります。その時を狙って外の世界に出ようと思いました。そうして死ぬ手段は後から考えてみるんだと。それを考えた時、すでに私は次は人間に生まれ変われるような気になっていました。
「ピティちゃん、昨日はゴメンね。泣いたりしちゃって」
次の日瑞樹ちゃんは元気に朝の挨拶をしてくれました。その時です。
「おはよう」
私は挨拶が出来た事に自分でもびっくりしました。
「おはよう。おはよう」
私は何度も喋りました。
「ピティちゃん、おはようが言えるようになったの?偉いねー。よし、ご褒美に葉っぱをあげるね」
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