出会いは唐突に

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モーニングバードという、モンスターがいる。 そのモンスターは、日が登りきらない早朝に、黒か白の2種類の卵を生むと言われてる。 そのうちの、白い卵から作るオムレツは王族や貴族が、毎日でも食べたいと言うほど絶品らしい。 「…イリス、どうだ?」 「…ありました!白い卵です!」 俺とイリスは小声で話す。 これで128匹目、見つけられた白い卵はこれで5個。無事に持って帰れれば、クエスト達成だ。 リスタントの町の、西側に広がる森の中に、モーニングバードの群れがいた。 この時期は繁殖期で、白い卵を生む確率が比較的高いらしい。 モーニングバードの見た目は、どこをどう見ても白いニワトリにしか見えない。 だが、こいつらは木の上に巣を作り、警戒心が非常に高い。 潜伏と、自身からの音を消すスキル「静寂」でなんとかクエストは事なきを得ようとしていた。だが、油断はできない。 こいつらはかなり厄介なモンスターだと聞いている。 「よし、じゃあ帰るぞ。」 「そうしましょう。こんなにヒヤヒヤするクエストは、もう受けません。」 俺たちは音をたてないように、慎重に登っていた木から降りようとしたのだが。 チチチ! 俺の顔の前に、一匹のリスが出てきた。 ヤバい、俺こいつ知ってる、「からかいリス」だ。 イリスもそれに気付き、顔を真っ青にした。 俺は、リス相手に泣き顔で懇願したが、通用しなかった。 からかいリスはニヤリと笑うと、木の実を取り出し、モーニングバードに思いっきり投げつけた。 あ、終わった。 モーニングバードが起きる。俺たちを見て、大きく息を吸い込み、 ―コケコッコーーーッ!! 森中にその鳴き声が広がった。
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