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俺たちは話をしながらのんびり歩いた。振り返れば、町はどんどん小さくなった。道中でモンスターに遭遇することもなく、目的の草原までは、順調に進んだ。
「ん?なんかいるな。」
定期的に索敵スキルを使っていたが、遠くの方で反応があった。
「モンスターですか?」
「みたいだな。もう少し近づかないと何かはわからないけど。」
「はぐはぐ…食べれるモンスターだと嬉しいのです。」
マノンは干し肉を食べなが言った。
もう少し近づくと、千里眼で目標を確認できた。ワイルドボアのようにみえる。
「ワイルドボアみたいだな。こんなところにもいるんだな。」
「ワイルドボアですか?変ですね、もっと森の近くならわかりますが、こんなとこまではぐれることはまずないですよ?」
「…お肉。」
「…とにかく、イリスにも千里眼を使うから、狙撃できないか?」
「わかりました。でももう少し近づきましょう。その方が確実です。」
ボアに気づかれないように、全員に潜伏スキルを使いもう少し近づいた。イリスの射程圏内まで近づき、イリスが「スピアアロー」を撃った。
「…仕留めましたね。」
「みたいだな、ありがとうイリス!」
矢はボアの頭に命中し、一撃で仕留めることができた。近づいて確認すると。
「…おや?これはワイルドボアではありませんね。フレッシュボアです。」
「フレッシュボア?」
「はい、ワイルドボアを食用に品種改良されたボアです。ハムなどに加工されるのですが、きっと商人の積荷から逃げ出したのでしょう。」
「じゃあ特に害のあるモンスターじゃなかったのか。なんか悪いことしちまったな。」
「そんなことありませんよ、農場などに行けばワイルドボア同様に作物を荒らしますからね。それよりも、ここは捌いておいしくいただきましょう。」
「お肉なのです!!」
「マノン!?」
マノンは倒れたフレッシュボアのところに駆け寄ると、短剣を取り出し、すさまじい勢いで捌き始めた。
「何か、めっちゃ手慣れてるな。」
「みたいですね。」
鼻歌を歌いながらマノンはボアをどんどん捌いていく。呆然と見ていると、大きな肉塊が何個も出来上がった。
「これでいいのです。」
「お、お疲れ様。ずいぶんうまく捌いたな。」
「はいー。お二人と出会うまでは、こうしてモンスターを捌いて飢えをしのいでいたのでずいぶんうまくなったのです。」
両手を真っ赤に染めたマノンはニコニコしながら言った。
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