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「目玉焼きは何派だ?」
「目玉焼きは白身が白くなりきる前に食べちゃうのです。」
「…よくお腹壊さないな。」
「もぐもぐ…マノンは丈夫なのです。お腹を壊したことは無いのです。」
みているこっちがお腹が痛くなりそうなんだが、入らぬ心配らしい。
「お二人も、焼けたお肉を食べてほしいのです。」
「そうですね、私達もいただくとしましょう。」
イリスはパンを取り出しながら、マノンの焼いた肉に手を伸ばす。こうして炉を囲んで外で食事をしていると、学生の頃にしていたキャンプを思い出す。流石に獣を仕留めて焼いたことはないが、川で魚を釣って、焼いて食ったことはある。その時は一人で食べたが、こうして仲間と一緒に食べる飯は一層美味しい。
スープも良い頃合いになったので、汁椀に注いで、二人に渡した。
「あ、おいしいですね。スパイスの程よい辛味がいいですね。」
「お肉にもよく合うのです。」
「口に合ってよかったよ。」
日はすでに沈み、空には星が少しずつ増えていった。今日の月は三日月だ。
食事を済ませたら、早めに寝ることになった。夜の見張りは交代ですることになった。最初は俺で、次にマノン、最後にイリスの順になった。索敵スキルを使える俺が、深夜の時間帯を任され、夜目の利くマノンがその次、薄明るくなる頃にイリスが妥当だろうと話し合いで決まった。
「なんか、私だけ楽させてもらってるみたいですみません。」
「良いんだよ。パーティーなんだ、適材適所で行動すればいいだろ。その分イリスは朝飯の準備をかってでてくれたじゃないか。」
「そうなのです。今はゆっくり休むのです。」
中々寝に入ろうとしないイリスをマノンが後押しするかたちで、二人は寝床で横になった。
夜は思ったほど冷えなかったが、少し肌寒かった。炉の火は新たにはくべずに残った熾がパチパチと音を鳴らす。
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