遠出はお好きですか

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数は三体。一匹が羽を広げ、力強い羽音と共に突進してくる。 「はやっ!」 剣で突き出された角を受け止めるが、重い。踏ん張ったが、ズザザと後ろに押された。カブトは上方に角の向きを変え、剣を押し切り上空に飛んだ。残りの二匹も羽を広げ、上空に飛んだ。三匹は俺たちの上空を編隊飛行しながら次撃のタイミングを見ているようだ。 「硬いな、イリス、あいつら弱点ないのか?」 「特にありません。甲羅の方は硬くて刃が通りませんが、腹の方はそうでもないようですよ。私の矢は速すぎて当たりそうにありません。」 「やりたくないが、正面から受け止めるしかないのか。よし、イリスはマノンと周囲の警戒を頼む。」 俺はカブトが狙いやすいように前に出た。カブトも俺に狙いを定めたのか、分散し、3方向から俺に向かって突進してきた。 「―ふんッ!」 一匹を「スマッシュ」でふっとばした。もう一匹はギリギリのところで真横に躱した。だが最後の一匹は躱すことができなかった。角が直撃するのは避けたが、突進をもろに喰らい、数メートルふっ飛ばされた。 「ソーマ!大丈夫ですか?」 「ごほっ…もろに喰らうとキツいな。」 体勢を立て直す。カブトの方は、一匹は地面に仰向けに倒れていたので、腹に短剣を刺し、魔力を込め内側から焼いた。ギチギチギチと足をバタつかせていたが次第に動かなくなった。その間も残りの二匹は俺の上空を飛んでいて、次撃に備えていた。 また別れて、挟撃を仕掛けてくる。さっきのダメージが残ってる分、二匹目の方は躱せないかもしれない。 正面から飛んできた。ギリギリまでひきつけて、スマッシュでふっとばす。背後からのもう一匹は、わかっていても、やはり身体が動かない。受け身の体勢をとろうとしたその時。 「ふぐぅ!」 マノンが俺とカブトの間に割って入り、カブトの角をがっしりと掴んだ。カブトは羽をバタつかせているが、びくともしない。 「イリス、今なのです!」 イリスが短剣を、マノンが掴んでいるカブトに突き立てる。魔力を込めて、炎が注がれ、カブトは羽ばたかせた羽から力を失い、動かなくなった。 それを見届け、俺もふっとばした残りのカブトにトドメを刺した。 「ふぅ。助かったよ二人共。」
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