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噂をすれば影、なのだろうか。索敵に反応があった。それも多数。
「二人とも、注意してくれ。索敵に反応があった。…囲まれてる。」
二人も気配を感じ取ったのか、臨戦態勢にはいる。
「この感じ、きっと獣のモンスターなのです。」
マノンが耳をそばだてながら言った。
敵の反応はゆっくり、確実に近づいている。
「どうする?突っ切った方がいいのか?」
「…そうですね、ここで構えるのもいいですが、四方八方から攻撃されてはお互いにカバーしきれないでしょう。追われる形になっても、動いた方が良さそうです。」
「よし、じゃあもと来た方へ走るぞ!」
剣を抜いたまま、もと来た道を走って戻る。俺たちの動きに合わせて、敵も動き始める。
正面に数体のモンスター。狼か?
雄叫びと共に飛びかかってくる。真横に避け、すれ違い様に斬り捨てる。よし、相手はそれほど強くない。
また、前方の近くの茂みから、狼が飛び出して来た。
剣を振り、斬り倒す。
まただ。俺達を遮るように、次から次へと出てくる。
「くそ、きりがない!」
「後ろからも迫って来てますよ!」
振り返れば、まだ遠いが狼が群れで追ってきていた。
「お肉がいっぱいなのです!」
「言ってる場合か!そんなの置いといて逃げるぞ!」
マノンは俺が倒した狼を名残惜しそうに見て、足が何度か止まりかけている。こんな時まで食欲に忠実なのは困ったものだ。
索敵では、前方の敵はほとんどなくなった。後方と側面にはまだ多数。逃げ切れるか?
「マノン!リュックからダイナマイトを出してくれ。」
「ダイナマイトです?あの細い棒みたいのです?」
「そうだ、それで相手の数を減らす。」
マノンは走りながら器用にリュックからダイナマイトを取り出してくれた。受け取って、火をつける。
導火線ギリギリまで粘り、後方に投げる。
爆発音。何本か木が倒れた。
「やったか?」
「…いえ、避けられたみたいです。」
土煙が晴れると、後方からは先ほどとほとんど変わらない狼の群れが追ってきている。
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