226人が本棚に入れています
本棚に追加
ダイナマイトも牽制程度の効果しか得られなかった。やはり足の速い敵には、向いてないか。
イリスのマノン、そして自分に支援魔法をかけ、森の出口までひたすら走る。
そういえば、こんな経験前にもあったぞ。
「こいつら森の外まで追ってくるのか?」
「ハァ、ハァ…その可能性もあります。でも足を止めるわけにはいきません。」
「お肉です!やってしまうのです!」
「マノン!ちょっとは自重しなさい!」
1人やる気マンマンのマノンも、一応は止まらず付いてきている。さて、どうしたものか。
森の入り口付近まで戻ってきた。突然、狼の群れの足が遅くなった。
「?なんか追って来なくなったぞ。」
「!ソーマ!前です!」
後方を見ながら走っていた俺に、イリスが叫ぶ。
前方を見ると、巨大なカマキリが、鎌を振り上げていた。
「うぉっと…あぶねぇ!」
すんでのところで振り下ろされた鎌を避ける。
「こいつ、居合いカマキリか?」
「そうです!手強いですよ!」
後方の方にも、もう一体居合いカマキリがいて、狼の群れに遅いかかっている。狼たちはカマキリに気づいて、俺たちを追うのを止めたようだ。
カマキリを挟み、俺は二人と分断された。カマキリを俺の方を見ている。狙いは俺か?
「二人とも、俺がこいつを引き受けるから、迂回して森の入り口まで逃げろ。」
「そうしたかったのですが、それも難しくなってしまいました。」
イリスとマノンの後方の茂みから、もう一体のカマキリが顔を出してきた。
「二人がかりでなんとかなりそうか?」
「わかりませんが、やるしかないでしょう。」
「やってやるのです!」
居合いカマキリは、この森のモンスターの中でも強敵と聞いていた。二人の心配もそうだが、まずは自分からだ。
最初のコメントを投稿しよう!