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剣を構える。カマキリは独特のステップを踏みながら、こちらの出方をうかがっているようだ。
ならば、と先手を打つ。「ダッシュ」で懐まで近づき、その腹に突きを仕掛けた。
が、カマキリはバックステップで避ける。右鎌を振り上げた。剣で受け止めようと構える。
左鎌が、真横一文字に斬りかかってくる。右はフェイントか。反応がやや遅れ、避けきれない。肩に鎌の先端がかすった。切れ味は上等、革の防具を切り裂き、肩の肉が裂けたのがわかった。
「…ちよっと触れただけでこれか。直撃はまずいな。」
二人の方も気になるが、こっちも余裕がない。
相変わらず、カマキリは独特のステップを踏みながらこちらの様子をうかがっている。
一息つく。集中しなおす。
剣を、下段に構える。ゆるやかな足取りで、カマキリに近付く。
カマキリが、前に出た。踏み込み、左鎌を斜め上から振り降ろす。
剣で受け止める。ガギリと、刃と刃が打ち合う音。踏みとどまり、競り合う。
右鎌が、振り上げられた。まだ俺は動かない。
振り降ろされるギリギリのタイミング。俺は競り合っている剣から力を抜きしゃがみ込む。左鎌が宙を斬り、カマキリの体勢が崩れる。
すかさず懐に潜りこみ、斜め下から上方に、カマキリの腹を斬りさいた。
カマキリがうめき声を上げて、後退する。まだ動けるようだ。
カマキリが、大きく跳んだ。その体躯全身を使って右鎌を振り降ろそうとする。
俺は剣を逆手に持ち、構えてスキルの溜めに入る。
「―ライトニングスマッシュ!!」
振り降ろされた鎌を、下方からかちあげる。頭上高くまで振り上げた剣を隙だらけのカマキリの胴体に、大降りに振り下げる。スキルの効果もあり、カマキリの胴体を両断した。
「イリス!マノン!」
急いで二人の加勢に入ろうとするが、そちらはそちらで片付きかけていた。
マノンがその力で、カマキリの両鎌を掴んで抑えこみ、イリスが短剣をカマキリの胸に刺し、魔力を注いでいた。
カマキリの上半身が内側から燃え、カマキリは力なく倒れた。
「…そっちのほうが、上手く倒したみたいだな。」
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