遠出はお好きですか

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二人に歩みより、声をかけた。 「マノンのお陰ですよ。そっちは…怪我してるじゃないですか!大丈夫ですか!」 「かすっただけなんだけどな、思いの外切れ味が良かったよ。」 「早く手当てするのです!」 「大丈夫だよ、あとでヒールかけるから。それより、素材を収拾して、一旦森から出よう。」 狼を追いかけて行ったカマキリは、そのまま狼と一緒にいなくなっていたが、いつ戻ってくるかわからない。 「わかりました、そうしましょう。」 「…あの、お肉拾ってきていいです?」 マノンが、狼の群れがいたあたりを指差す。 「…捌くのは後でな。早く戻ってこいよ。」 一応索敵をかけて、反応がなかったのでマノンを行かせた。その間にイリスと二人がかりでカマキリから鎌や、羽を採取した。 森を出て、昨日野宿した地点まで戻ってきて、腰を据えた。 あの後マノンは狼の残骸を抱えれるだけ抱えて戻ってきた。今は鼻歌混じりに丁寧に捌いている。 「これからどうする?」 「思わぬ襲撃にもあいましたが、概ねクエストは達成です。居合いカマキリはちょうど2体倒せましたし、素材や、薬草の採取は済みました。鎧カブトの討伐だけがまだですが、今回はこれで引き上げても十分だと思います。」 「そうか、なら今回はこれでよしとするか。初めて三人で戦闘もしてみたが、立ち回りや役割を色々考える必要があるな。」 「私は十分だったと思いますけどね。まぁ、ソーマは怪我してばっかりでしたから、思うところがあるのでしょうね。」 今回の敵には、素早いやつがいた。素早い敵にはダイナマイトでは効果が薄い。もっと速い武器を作らなくては。 「まぁな、イリスの弓も頼りにしてるが、速い敵にある程度距離をとって戦える武器が欲しいと感じたよ。」 「今回は、私の弓の出番は少なかったですからね。ソーマの作った魔剣はとても役に立ちましたよ!これはいい物です。」 イリスが、鞘に納めたままの短剣を取り出し、大事そうに撫でた。 「イリスはしっかり使ってくれてるが、マノンの方は完全に肉を捌く用になってるけどな。」 マノンの方を見ると、丁度捌き終わったのか、短剣と肉をもってニコニコしながらこっちに来た。 「ソーマの作った短剣は使い易くていいのです。」 「…今度捌く用の包丁でも作るよ。」 「本当ですか?その時はマノンも工房にお邪魔するのです。」
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