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これからのことを考えた。
マノンも増えたことだ、今回のように遠出するのも悪くない。リスタントの町以外の町や村に出かけるのもいいかも知れない。そこで、また新しい出会いがあって、仲間が増えていく。そんな、ファンタジーみたいな経験ができれば楽しいだろう。
そんなことを考えながら、星を眺めた。
この世界にも、星座はあるのだろうか。星の輝きは大小いくつもあって、いろんな見方ができる。
「…今日は少し冷えるな。」
しばらく星を眺めていて、首が疲れた。立ちあがり、肩を回した。
索敵に反応があった。近い。
マノン、イリスを起こそうかとも思ったが、まずは千里眼で確認した。だが、敵影は見えない。確かに索敵には反応があるので、剣を構えながら、その方向へ向かった。
「……なんだ、お前たちか。」
そこにいたのは、スライムだった。マノンが昼に捌いた狼の残骸に数体のスライムがひっついていた。きっと、このまま取り込んで、消化するのだろう。剣をしまいながら、俺はもとに戻った。
その後、特になにも起こらず、交代の頃合いになったのでマノンを起こし、俺も寝ることにした。
翌朝まで、何も起こることはなかった。朝食を食べて帰り支度をして、リスタントに向け出発した。
道中はマノンとイリスが、楽しそうにおしゃべりをしていて、俺は警戒を怠らなかったが、モンスターも出てこず、夕方にはリスタントの町についた。
こうして、初めての遠出は無事に終わった。
この時は、もうすっかり旅人のあの言葉も忘れていた。
けど、しばらくして事件はやってくることを、俺は知らなかった。
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