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思考が、まとまらない。
変な汗が、止まらない。
「ソーマ!しっかりしてください!とにかく、森を出ましょう!マノン、手伝って!」
後方でじっとしていたマノンに、イリスが叫ぶ。マノンは、俺に噛みついてきた蛇の残骸をもっていた。
無言のまま、俺たち近づき、そして。
「マノン?……ッ!」
マノンがイリスを突き飛ばした。
俺もイリスも状況がわからずにいると、マノンが倒れた俺に覆い被さり。
「ま?、ッがぁぁぁぁぁ!」
マノンが俺の横腹を噛みちぎった。
激烈な痛み。痛み痛み痛みで一瞬意識が飛びかけた。
なおもマノンは俺の横腹に噛みつき、何度か食いちぎられた。
「―――――!」
俺は声も出せずにいた。ダメだ、意識が飛ぶ。
ふっ、と視界からマノンが消えた。
代わりにイリスがいる。
イリスが、マノンを蹴飛ばしたようだ。
イリスが、弓を構えている。
「ソーマからはなれなさい!」
よく見えないが、イリスはマノンに矢を向けているようだ。
蹴飛ばされたマノンは、ゆっくり、無言で起き上がる。
マノンの表情は、視界が霞んで、見えない。
イリスが、何か言っている。
けど、もう俺には何を言ってるのか聞き取れず、視界も暗くなっていく。
そこで、俺の記憶は終わった。
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