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信じるものは
目が覚めた。
見慣れた天井。俺の部屋だ。
「……いってぇ。」
脇腹に痛みを感じた。触ると、頑丈に包帯が巻かれていた。
「ソーマ!目が覚めたのですね!」
イリスが、飛び付いてきた。飛び付かれた振動で、全身に痛みが走る。
「…痛いから離れてくれ。」
「す、すみません。ですが、何日も寝たきりだったので、心配で心配で…。」
半泣きのイリス。寝ている間、ずっと看病してくれていたのだろうか。
「ありがとうな、イリス。俺は何日くらい寝てたんだ?」
「丸4日です。食事も取れてませんでしたし、何か飲み物と食べ物をもってきます!」
俺は止めようしたのだが、イリスはすごい勢いで部屋を飛び出していってしまった。今は何か食べれるような状態ではないのだが、仕方ない。
体を起こしてみる。全身が軋む。寝たきりになっていたせいで、体中の筋肉が固まってしまったように動かしにくい。頭がまだぼんやりとしている。正直しんどい。
「といっても、状況確認しないとな。」
そうだ、森で倒れたあと、どうなったのか知る必要がある。マノンがここにいないのも、気になる。やっぱり飯どころではない。
少ししてから、イリスが水と食事を持ってきた。リックも一緒だ。
「ソーマ、食べれるものを少しでもいいので食べてください。」
「いや、食事よりもまず、状況を整理したいから、話を聞かせてくれ。」
「何を言ってるのですか、まずは自分の体の心配をしてください。」
「それよりも!あの後何があったか教えてくれ!マノンはどうなった?」
「ソーマ…」
言葉を失うイリス。少し強く言い過ぎたか。
「…悪い。」
俺も何も言えなくなって、沈黙していると、イリスが持っているトレーからリックが水を注ぎ、俺に手渡してきた。
「まずは、食事をとりましょう。ソーマさん、思うことはたくさんあるでしょう。しかし、何も口にしていない今の状態では、良い判断もできません。食事をとって、落ち着いてからでも良いではないでしょうか。イリスも、ちゃんと話すつもりです。ですが、ソーマさんを心配して、イリスもまた、ろくに食事をとっていません。ここはイリスを想って一緒に食べてくれませんか。」
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