出会いは唐突に

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ポーターは言っていいのかわからないけど、と前置きをつけた上で。 「実は、ソーマという冒険者はかなりの変人だとギルドでは評判だと聞いてまして。パーティーを組んでいるイリスって方も同じくらい変わってるとか。特にクエストの受け方が異常といいますか、誰も受け手がいなくて、報酬だけがどんどんつりあがっているクエストばかりを好んで受けてる、命を捨てることに抵抗のないパーティーだと聞いていたので。自分、まだ駆け出しなので、命捨てる覚悟はまだ無いといいますか、……ごめんなさい!」 そういってポーターは駆け出していってしまった。 残された俺たちは呆然とお互いを見つめあい。 「お前のせいじゃないか!」 「ソーマのせいじゃないですか!」 お互いにお互いのせいにした。 「ソーマが変人で通ってるから、関わりたくないと避けられてたんじゃないですか!」 「ふざけんな!スキル全部取ろうとしてるだけで変人扱いする方がどうかしてるんだ!それより、お前が選択してくるクエストのせいだろ!やけに高額な報酬ばっかだと思ったら、そんなヤバいクエストをわざわざ選んでたのかよ!」 「私のせいだと言うのですか!私はただ、みんながやりたがらないなら、自分がやろうと!自己犠牲の精神で選んでただけです!なにも報酬に目が眩んでいたわけではありませんよ!」 「うそつけ!この守銭奴!」 「なんですと!このスキル変人!」 掲示板の前でみっともなく口喧嘩をしている二人がいた。周りの冒険者や、ギルド職員は、ヤバいやつがいるとでも言いたげな目でみて、関わるまいと早足で去っていく。 この二人、ギルドでは間違いなく浮いていた。 まぁ、俺たちのことなんだけどな。
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