ひいおばあちゃんとひいおじいちゃん

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 ウチ、咲坂(さきさか)コウ。13歳。何でか知れへんけどタイムリープ出来るようになりよった。やったね!  ちゅうことで、ウチは過去の行きたい時代に行きまくった。恐竜がいた時代(めっちゃ迫力)、縄文時代、平安時代、戦国時代(グロかった)。無茶苦茶たのしー!  あっ! 未来には行けへんよ。ウチのタイムリープは行きたい時代の『光景』を思い浮かべやんならん。未来の確実な光景なんて知らへんし。確実やったら絵でもオッケーやから教科書サマサマ!  あとな、これは実験して分かったんやけど、ウチが生きてる過去にはタイムリープできひん。ウチが二人になってしまうからな。以上! 説明終わり。 「よっし、次どこ行こかな」  いったん現代に戻って自分の部屋でくつろぐ。  ベッドの上でゴロゴロしとったウチの目に、机にあるフォトフレームが映った。そこには8歳のウチと、この写真を撮って間もなく亡くなったひいおばあちゃんが(わろ)てる。  そうや! ひいおばあちゃんに会いにいこ!  おっとりしてて優しうてめっちゃ好いとったひいおばあちゃん。5年前に死んでもた時は目が腫れるまで何日も何日も泣いた。干からびるかと思った。これは嘘やけど。 「よーし! ひいおばあちゃん、今行くでー!!」  目を閉じて両手を組んで、ひいおばあちゃんが生前住んでいた古い日本家屋を思い出す。体が何ぞに包まれるように熱くなって、エレベーターのようにふわりと上下した。  これでタイムリープ完了。わくわくしながら目を開けると。 「うわぁー…」  木の電柱。土の地面。木造の家。(たぶん)右から読むやたらデカい看板。  いつの時代か分かれへんけど、めっちゃ昔。  ウチがキョロキョロしてると、前から女の人が歩いてきた。歳は10代後半か20代前半くらいかな。三つ編みをサイドから垂らして、アヒル口で、めっちゃ可愛い!  ん? アヒル口……?  ウチのひいおばあちゃんも特徴的なアヒル口や。  まさか!!  女の人に駆け寄る。女の人はウチに気付くと「あら? 見かけへん子やね」とふわりと(わろ)た。その笑顔がひいおばあちゃんと重なる。 「あの! お姉さんは咲坂シノさんやろか!?」 「えっ? なんでウチの名前……」  ビンゴ!! ウチは嬉しくなる。 「ウチ、お姉さんの曾孫の咲坂コウやで! 未来から来たで!」 「あらまあ」  ひいおばあちゃん、若い時からおっとりさんやった。
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