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―すべては私の生ぬるい気持ちの乱れからだ…
魔性に心を許しそうになったのも、そのせいで操られて、仲間を傷つけて、迷惑をかけて…。
項垂れる彼女をメイは慰めるように肩を抱いて言った。
「仕方ないさ。魔性の目を見たらそうなるなんてステラも知らなかったんだしさ…。
とりあえずさ、みんなどうにか回復してよかったーじゃん?」
すると、コウがリーディとキャロルを連れて戻ってきた。
「ステラ…」
キャロルは優しく微笑んだ。いつもの元気なキャロルだ。リーディもまだ本調子ではないが元気そうだ。相変わらず、涼しい顔で心のうちは分からないけど…。無事でよかった…、ステラは二人を見てホッとした。
仲間たちが自分の寝台の周りに集まったのを確認するとステラは、急に頭をあげてこう言った。
「みんな…本当にごめんなさい。いくら操られたとはいえ、私やってはならないことを、してしまったわ…。」
そして再び深く頭を垂れた。
「これからは、もっと気を引き締めて色々臨むから…。」
辛そうな顔。見たものが居た堪れなくなるほどの。
ステラは責任感が強い。逆にどうしてそこまで思い詰めてしまうのだろうと心配させるくらいだ。
普段は彼女もそこまで周りに気を使わせるのも嫌なので明るく謝ったりするのだが、状況が状況でいつも以上に心情がストレートに出てしまったのだ。
暫く皆黙っていたが、コウがおずおずと言葉を発した。
「…ねぇステラ、反省している気持はすごく伝わったよ。でもさ、必要以上に自分を責めてないかい?
ならさ、僕たちは何のためのさだめの仲間なのかな?」
「…コウ?」
「全部自分で背負いこもうとして、僕たちが何か被るのだけは避けたい?それは無理な話だよ。もう乗りかかった船だし運命共同体っていうのかな?」
コウはステラの手を取って彼女の瞳を見つめた。
キャロルもメイもコウの言葉にうなずく。リーディは静かに聞いている様だ。
「お願いだから、全部抱え込もうとしないでほしい。そのための、仲間なんだからさ」
キャロルは、万全に体調を整えるために再び自身の個室に戻り、メイとコウも、部屋に戻っていった。そして部屋にはステラと、ずっと黙っていたリーディだけが残った。
―どうして、部屋を出て行かないのかしら…。
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