第七章 再覚醒

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メイが急に椅子から立ち上がり、外へ向かって走りだした。 「姉さん!」  「メイ??」 他の仲間たちも追いかける。 外に出るとステラが静かに雨の中上空を見つめている。 皆が声をかけても一向に振りむこうとせず。何かを待っているようだった。 …すると彼女の視線の先に魔性が現れたのだ。 「そう、そなたは私のモノだ…。」 魔性は静かに満足げに笑うと彼女の顎(おとがい)に手をかける。ステラはうっとりと魔性を見つめる。 「では、愉しませてもらおうか…そなたの力で、きやつらを血祭りに挙げて見せよ・・・」 魔性がステラの顎から手を離すと、ステラが皆の方を振り向きフランベルジェを構える。先ほどの夢見ているような表情と違い、今度は皆を威嚇するほどの般若の顔だ。 「いけ!!」 ステラはニヤリと嗤うと、まず一番近くにいたメイを斬りつけた。 メイも咄嗟に避けて事なきを得たが、戸惑いは隠せない…。 「ステラ??」 メイは片手で受け身を取り、迎撃の構えを取り、叫んだ。 「あんた。一体どうしちゃったんだよ!!」 メイはまず、ステラのフランベルジェを掌から落とそうと、彼女の利き手に向かって蹴りを入れた。 その足は見事にステラの籠手に命中したが、剣を落とすまでには至らず。 却って彼女自身がステラの片一方の手で首を捕まえられ投げ飛ばされる。 -そう。父上もそういう感じだった。 リーディはそれを見て、 自分が4年前に父親が操られて斬りつけてられたことを思い出していた。 ―違う魔性だったが、同じように対象を見据えて、意のままに操るんだよな…。 ステラは構わず今度はキャロルとコウに魔力を凝縮したエネルギーの塊を投げつける。 二人は爆風で吹っ飛ばされて気絶する。 そして、すぐに体制を変えて今度はリーディに斬りかかってきた。 彼は機敏に避けてブロードソードを抜くとそれを受け止めて流す。 ステラはそんな彼をキッと睨むと即座にまた、斬りかかる。  リーディはステラの剣の癖を見抜いていた。彼女はどうしても聞き腕のほうの脇が甘くなるのだ。 彼の腕ならばすぐに突くこともできるのだが、如何せんステラだから。そう簡単に自らの戦闘能力のままに仕留めることはできない。
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