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―どうすれば…こいつを傷つけず倒せるのか?しかも覚醒した力のせいで、
いつもより動きが俊敏だから俺も油断できない…。
彼はそう考えながら呪文で守備力を上げて応戦するも、埒が明かない。
両者一歩も譲らず闘いは膠着状態が続いた。
「ふ。面白い…骨のあるものもいたのだな・・・。」
魔性はほくそ笑み、様子を静観している。
メイは、だいぶ遠くに飛ばされたのだが、すぐに気が付いて起き上がっていた。
―リーちゃんと一騎打ち状態じゃない…。
彼女は固唾を飲んだ。
―どうすればステラを元に戻せる?
必死に彼女は、頭をフル回転して考えた。すると静観している魔性を見つけて彼女は一人頷いた。
―あたしが、魔性(あいつ)を…!!
メイは魔性の傍まで走り込み、跳躍すると背後から魔性の後頭部を叩き割る勢いで手刀を振り下ろそうとした。しかし、魔性は気が付いてないと思っていたが、メイの居る方に振り向かずに、彼女が手刀を振り上げた瞬間、真空刃を背後に放ったのだ…。
「!」
一度も彼女の方を見ず(みず)に、四方八方から飛んでくるかまいたちに、
流石のメイも避けられずそれは彼女の肢体を切り裂く。
「うぁッ!!」
飛び散る血飛沫、メイは地面に崩れ落ちた…。
…どのくらい時間が経ったのだろうか?
地面に崩れ落ち、相当なダメージを受けているにもかかわらず、
メイの意識ははっきりとしていた。蹲りながらもしっかりと、彼女はステラとリーディの激戦を見届けていたのだ。
見たところ、降りしきる雨の中、双方相当な疲労を感じながらも、まだ斬り合いは続いている。途中途中でステラは魔力を放ちリーディに襲いかかったが、彼も様々な魔法でそれを防ぐ。
嵐の中、剣と剣、光と光がぶつかり合い、嵐の中煌く。
一方でステラはだんだん息が上がっているのを感じている。
―…この人…何なの??
彼女は一瞬考え込んだ。
その隙をリーディは見逃さず、彼女の背後にまわり頸椎を軽く叩いて気絶させようとしたが…
「!!」
リーディの瞳が一瞬、紗がかかる。そう、
それより数秒早く、ステラの剣は彼の脇を刺していたのだ…。
夥しい量の血が流れ、彼女に返り血が降りかかる。その紅色に…彼女の瞳が反応する。
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