13人が本棚に入れています
本棚に追加
祐吾が必要以上に大きな声で驚いた。
うるさいよ、と真央が笑う。
「いや、友達から噂で聞いただけなんだけどね」と僕は付け足しておく。
「ひえー、まあ、若くて美人だからモテるだろうしなぁ」と祐吾が呟いた。
「あれ?」
真央のそんな声に、僕と祐吾は、同時に彼女の方を向く。
「そういえば、なんで木野先生の話になったんだっけ?」
「いや、だからシャワーと雨がどうとかいう話を、真央がし始めたんだろ?」
祐吾が真央を指さしながら言う。
「そっかぁ。でも、なんで私そんなこと思い出したんだっけ?」
「それはあれだよ。風呂に入るとき、祐吾が湯船派で、僕と真央がシャワー派だって話をしてたから」
「そっか! やっと記憶がよみがえった~」
自分たちの会話があまりにもくだらなすぎて、僕は笑う。右のほうを見ると、真央と祐吾も、楽しそうに笑っていた。
涼しく澄んだ秋の空気が、僕たちを包んでいた。
僕たちは、いつも同じ順番で横並びに歩く。
左が僕、中央が真央、一番右が祐吾だ。三人で歩くこの帰り道が、僕はとても好きだった。
「でも、モテるって言えば、木野ちゃんだけじゃないよねー」と真央が言った。
最初のコメントを投稿しよう!