第2章 変わりゆく愛しい人 side 怜斗

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収録当日。 早めにスタジオ入りした俺。 インタビュー内容を見て、固まる。 ネット上で、俺と彩花が、中高一貫校時代に付き合っていた事は話題になっていた。 でも、今は、そんな事実もなく、俺も彩花も恋人の存在がいないと公表している。 インタビューをする売れっ子だけど天然な事ばかり聞いてくる女子アナを捕まえ、インタビュー内容について、あれこれ、リクエストした。 俺と彩花の関係についてを聞かれないように…。 女子アナと打ち合わせをしていたら、ドラマを手がけてるプロデューサーに呼ばれて振り向く。 そこには、彩花がいた。 淡い黄色のワンピースを着た美しい彩花。 2年会わない間に、かなり、美しくなっていた。 俺と目があった彩花は、平然とした表情をしていた。 プロデューサーは、スタジオの準備をしている裏方スタッフの所へ行き、俺と彩花が、2人、取り残された。 俺は、きれいになった彩花に戸惑い、そして、あんな別れ方をしたから気まずくて、何も言えなかった。 そんな、俺に、彩花は、言った。 「Just be friends 、ただの友達に戻ろう。 中高一貫校時代に、わたし達が付き合っていた事は風の噂で、ネット上に上がってるけど、今のわたしたちには当てはまらない。この対談で、Just be friends All we gotta do。わたし達はただの友達として、今の2人がある事を、公にしたい。15分のインタビューだから、話せる時間は限られてる。その中に、この内容だけは、入れ込みたい」 彩花の中に、俺は、もういない。 俺は、彩花に言われた通りに話が行くようにした。 そして、彩花にとどめの言葉を言われた。 『Just be friends All we gotta do、わたしたちがしないといけないことの全ては、友達になるという事、それだけです。仕事での絡みはあっても、あの時の関係に戻る事は無いです。仕事のパートナーとして、良い作品を一緒に作っていきたいと思ってます』 彩花にとって、俺との過ごした中高一貫校で過ごした愛し合った6年は過去の事で、もうあの関係には戻る事がないと、完全に俺の存在が彼女の中にない事を知る。 俺が、すれ違いで生じた彩花の不安を拭えず受け止めなくて、彼女との別れを選択したのが間違いだった。
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