プロローグ

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~ 加瀬 彩花 (かせ あやか)~ もう、あんなやつ、知らない。 キレイ女子にたかられて、鼻の下をのばして 、もう嫌い。 2度と口利かない。 彼女のわたしのはずなのに、なんで、いつも、傍に女子がいるの。 わたしが気づいて、あいつを睨むと、女子達は笑顔を向けてくる。 そうですね、わたしは、見た目もスタイルも普通ですよ。 同じ県内の大学だったら、2人の関係は変わらないと思ってた。 なのに、容姿端麗で頭脳明晰でスポーツ万能のあいつはモテる。 しかも、YouTubeに楽曲を投稿し、至る所でライブをしてるからか、ファンの女の子がたくさんできた。 だから、目を離すと、すぐに女子にたかられる。 手を出してないと信じたい。 でも、お互い大学での学びと趣味の活動が多忙でなかなか会えない。 せっかく会っても、彼の傍に女子達がいたことに気分を悪くして、その日、機嫌が悪いままのわたし。 わたしも、あいつも、時間調整をして、なんとか会う時間を作ったのに…。 わたしが、こんな態度をとるから、ついに、あいつから言われた。 『彩花、別れよう』 わたしが、いつ『嫌』と、泣いて叫んでも、あいつは、なにも言わずに、背中を見せて去っていた。 1度も、振り向かずに、人混みの中に紛れて消えたあいつに、わたしは、何度も、『別れたくない』と泣いて叫んだ。 でも、彼は戻って、わたしのところに戻って来なかった。
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