435人が本棚に入れています
本棚に追加
/55ページ
第5章 時間を共に過ごす side 彩花
12月スタートの冬ドラマが始まった。
わたしと怜斗のコラボ曲はかなり話題になった。
CD発売開始した途端に店頭から無くなり、
曲のダウンロード開始日はダウンロード数が多くて回線がパンクしたらしい。
週間売上数が歴代1位と大記録を達成した。
『彩花ちゃん、いきなりだけどさ、来週の金曜日の【ファン音楽祭】で天宮くんとコラボ曲を歌ってよ』
「嫌です。無理ですよ。レコーディングのNG多発を知ってますよね。生放送なんて、無理」
『1週間ある。練習すればなんとかなる。これ、決定だから、じゃ』
真鍋プロデューサーから電話がかかってきたと思ったらこれ。
勝手に話を進められ、ため息しか出てこない。
コラボ曲じゃなくて、秋ドラの挿入歌に変更して貰えないか交渉してみようか。
コラボ曲は無理…。
水曜日の午後は大学は無い。
講義が終わると真っ直ぐに学校から家に帰る。
「彩花、コラボ曲の練習に行くよ」
わたしのマンションの前で、怜斗がわたしを待っていた。
「本決まりで番線で流されてるから、逃げれないよ。逃げたら信用問題でこの業界でやっていけなくなるよ」
iPhoneで動画を見せてきた。
情報番組のエンタメコーナーで、ファン音楽特番で司会をするアナウンサーが、わたしと怜斗のコラボ曲を生披露すると言っていた。
「レコーディングの感じだとかなりまずい。練習しよう」
怜斗が提案してきた。
レコーディングの時のあのNG連発を思い出す。
さすがに、生放送であれはまずい。
怜斗の提案を受け入れる事にした。
最初のコメントを投稿しよう!