第5章 時間を共に過ごす side 彩花

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第5章 時間を共に過ごす side 彩花

12月スタートの冬ドラマが始まった。 わたしと怜斗のコラボ曲はかなり話題になった。 CD発売開始した途端に店頭から無くなり、 曲のダウンロード開始日はダウンロード数が多くて回線がパンクしたらしい。 週間売上数が歴代1位と大記録を達成した。 『彩花ちゃん、いきなりだけどさ、来週の金曜日の【ファン音楽祭】で天宮くんとコラボ曲を歌ってよ』 「嫌です。無理ですよ。レコーディングのNG多発を知ってますよね。生放送なんて、無理」 『1週間ある。練習すればなんとかなる。これ、決定だから、じゃ』 真鍋プロデューサーから電話がかかってきたと思ったらこれ。 勝手に話を進められ、ため息しか出てこない。 コラボ曲じゃなくて、秋ドラの挿入歌に変更して貰えないか交渉してみようか。 コラボ曲は無理…。 水曜日の午後は大学は無い。 講義が終わると真っ直ぐに学校から家に帰る。 「彩花、コラボ曲の練習に行くよ」 わたしのマンションの前で、怜斗がわたしを待っていた。 「本決まりで番線で流されてるから、逃げれないよ。逃げたら信用問題でこの業界でやっていけなくなるよ」 iPhoneで動画を見せてきた。 情報番組のエンタメコーナーで、ファン音楽特番で司会をするアナウンサーが、わたしと怜斗のコラボ曲を生披露すると言っていた。 「レコーディングの感じだとかなりまずい。練習しよう」 怜斗が提案してきた。 レコーディングの時のあのNG連発を思い出す。 さすがに、生放送であれはまずい。 怜斗の提案を受け入れる事にした。
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