第5章 時間を共に過ごす side 彩花

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さすがにカラオケボックスで練習はまずいから、プロデューサーを感じて、あの高級BARのスタジオを借りて練習する事にした。 BARでランチにパスタを食べて、練習開始。 やはり、出だしが遅れたり音外しをしてしまう。 1人で自分のパートを歌うだけなら問題なく歌えるのに、怜斗と合わせると、やらかしてしまう。 たぶん、精神的な問題。 「彩花、俺を意識せずに歌え。どうしたら俺を意識せずにいられる?」 3時間歌い続け、1度もまとめに歌え切ってないわたしに、怜斗は言った。 わたしがその方法を知りたい。 怜斗以外の人となら、絶対に完璧に歌えるよ。でも、怜斗とのコラボ曲だから、怜斗と歌うしか無い。 怜斗を、怜斗だと思わないようにして歌うと歌いきることはできても、感情が入って無いと怒られる。 「彩花、提案がある。ファン音楽祭が終わるまでの間だけ、昔の恋人同士に戻らないか。そしたら、彩花は絶対音感と、天性の感性からの表現力があるから、本来の力を発揮させて、最高の演出ができると思う」 怜斗がわたしに近づき、わたしを抱きしめた。 戸惑うわたしだけど、懐かしい、怜斗の匂いと温かさに包まれ、ほっとする。 「このまま、歌ってみて」 怜斗がリモコンで曲を流す。 怜斗の胸の中から離された。 でも、わたしの隣にいて、手を握ってくれてる怜斗。 不思議な事に、完璧に歌い切っただけでなく、最高の歌唱力で歌えていた気がした。
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