第5章 時間を共に過ごす side 彩花

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季節は12月に入ったばかりで暖冬とはいえ、寒い日が続くから鍋をしようと思った。 でも、怜斗のキッチンを漁ったところ、鍋用のコンロと土鍋が無い事に気づく。 最低限の調理器具しかない。 わたしと別れてから、家に来て、世話をしてくれる彼女がいなかったのかな…。 調味料も無いものが多いだけでなく、調理器具が無いのは、家で料理をしてないから。 包丁やまな板と鍋類、それは、東京に出てからわたしが買い揃えた物で、使ってないからか、新品そのものだった。 肉じゃがと鯖の味噌煮、味噌汁を作る事にして、使い切る材料を買い物カゴに入れた。 怜斗の家に戻り、調理にかかる。 できあがった料理を盛り付けようと食器を探す。 あったのは、数回しか使われる事が無かったペアで買い揃えたわたしと怜斗用の食器。 残ってるとは思わなかった。 別れて、怜斗が引っ越した時に、捨てずにいたのに驚いた。 食器を取り出し、作った料理を盛り付け、キッチンの食卓テーブルに並べ、怜斗に声をかけた。
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